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HOI4 Turkey+のトルコ物語Ⅱ

はじめに

 ※このお話(記事)はフィクションです。HOI4のMODには、このような素晴らしものもあるんだというのを拡散するのを狙いに、作成しております。そして、あらゆる国家・宗教・民族・団体・個人などを貶めたりする意図は一切なく、実在する全ての国家や宗教、団体などとは、一切の関係がありません。
  また、ゲーム画面以外で使用している写真は、Wikipediaのパブリックドメインになっている写真。あるいは、商用利用も可能な画像を使わせていただいております。

 加えて、史実などとは違った表現や無意味な行動をHOI4内でする場合がありますが、そのほとんどは演出によるものです。本日の記事は、そういったロマンも含めて、お楽しみください。

 

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前回のあらすじ

 HOI4 Turkey+のトルコ物語Ⅰ

 ドイツでの内戦勃発。オーストリア=ハンガリー復興の動き。
 目まぐるしく変わる国際情勢に備えるため、まずは軍拡のためのインフラと民需工場を整備することになったトルコ。

 五か年計画の成功もあり、貿易による収入も増えているところだったが、イラク国境で小規模な戦闘が発生してしまう。

 イラクが請求した賠償にけりを付けようと、ギリシャの首都アテネで会談が行われる。しかしそこに現れたのは、ドイツ第三帝国の外相リッベントロップ。
 内戦で負けつつあるドイツを立て直すため、イラクを経由して多額の賠償金を受け取ろうとしていた

 賠償金の支払いを断ったトルコの貿易を、ギリシャ海軍が中心となり地中海ルートを封鎖。イラクはイランに働きかけ、英仏ソも両国に対して非協力的な立場から、トルコは陸上のルートもほぼ失ってしまう。

 その結果、上昇していたトルコの経済は徐々に下がっていった。これ以上、国民の生活が細くなっていくのを放置できなかったケマル大統領は、インドを中心とした東アジアの貿易ルートを取り戻すため、イラクに宣戦布告することを考える。

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イタリア・ローマ

失礼いたしますドゥーチェ。対土貿易封鎖についての報告書が出来上がりましたので、提出させていただきます。

わざわざご苦労。……それで、本質となる海軍の技術向上は順調なのかい? 陸軍の君に聞くのもあれだけど。

カンピオーニ提督によりますと、対ト貿易封鎖によって少しずつではありますが、乗組員の技術は上がっているようです。ただ旧式艦の故障が出ており、新たな戦艦の建造をできれば急いでほしいとのことでした。

国粋スペインに送った、グラッツァーニ元帥とバルボ空軍元帥は?

共和派スペイン軍に対しては、陸空軍とも優勢を保てているようですが、ソ連の義勇軍には手こずっているようです。とはいえ、イタリアの燃料不足は深刻ですから、これ以上追加の師団を送るのは国を圧迫すると思われます。

まぁ、海軍も動かしているから仕方ないね。とはいえ、これで陸海空全ての軍を満遍なく鍛えられることに成功したな。君の進言通り、イラク側に特殊兵を送って正解だったな。

いえ。私はアビシニア戦争の長期化と、内戦によるドイツ消滅の危機を考えて『イタリアが単独でも戦争できるよう、最低限の準備をしておいた方が良い』といったまで。イラク側にイタリア兵を忍ばせて、トルコとイラクをぶつけさせたお考えは、ドゥーチェ自ら考えた策じゃありませんか。

そういえばそうだったな。でも君の助言のおかげで、実践的な演習ができていることに変わりはない。やはり君は、イタリアに不可欠な人材だといえるだろう。

もったいないお言葉です。しかし、味方となる国がいるにこしたことはありません。スペインやドイツが消滅の危機にある今、極東の国と手を結ぶ必要があるかもしれませんね。

そちらも進めてはいるが、そうはいっても日本は遠い。密接な協力ができるかといわれると難しいだろう。

ではいかがいたしましょう。ヨーロッパには既に、我々の味方となる国はいませんし……。

そんなに心配しなくても大丈夫だ。
……既にチャーノ外相らを『イギリス』に向かわせている。

対イラク戦準備

それではこれより、対イラク戦の最終確認を、トルコ軍上層部間で行う。チャクマク元帥。説明を頼む。

はい。まずイラクの戦力ですが、我々のスパイの情報によると前線には1個師団。首都の防衛には1~2個師団を当てているようです。対する我々は15個師団でありますが、本来ならギリシャなどの介入を恐れて兵力を分散させる必要があります。

しかし、スペイン内戦や各国の状態などを理由に、イラク協力国は戦争介入ができないと思われます。

そこで、対イラク戦では陸上と空軍の総力を上げて、情勢が変わる前に短期間で戦争を終わらせたいと思います。

他の国が戦争介入できないという、その根拠を教えていただけますか。

はい。
まずドイツ第三帝国ですが、お察しの通り内戦に負けつつあり、直接軍を送ってくることはまずありえないと思います。

またイタリアに関しても、先日併合したエチオピアでの消耗が激しく、またスペイン内戦の国粋派を援護する姿勢のようで、こちら側に軍を送る余裕はないと思います。

そもそも、ギリシャやイランと違って、この二つの大国はトルコまで距離があります。万が一兵を送ってきたとしても、その前にイラクを倒すことができると考えます。

イタリアは距離を縮めつつあったドイツが、消滅の危機だからな。スペインという新たな友人を、何としても確保したいのだろう。

続いてギリシャですが、この国は不景気による国内情勢が深刻で、メタクサス首相はかなり手を焼いているようです。そのため、本格的な介入をする余裕はないと思われます。

イランに関しては、イラクへの協力は貿易面のみのようで、陸軍戦力の増加や師団配置などの変化はないとの、スパイからの情報です。

仮にイランがイラク側についたとしても、国境部が近いためすぐに対応できます。
そもそもイランは、国境部に師団を配置すらしていませんから、いきなり我々に宣戦布告してくるというのは「どうぞ侵攻してください」と言っているようなもので、考えにくいです。

なるほど。確かに、どの国も忙しかったり準備不足だったりするようですね。
その状況が変わってしまう前に、終わらせるための戦力全投入なんですね。

その通りです。イラクは機械化されていない歩兵師団のみ。
対してこちらは歩兵師団9個に加え、まだ充足していないとはいえ軽戦車師団3個に自動車師団が3個。加えて150機ほどの空軍機体数です。

戦争では、敵の最初の防衛師団を突破したら、後は足の速い師団で一気に敵の奥地へと侵入。それを空軍がアシストする形にし、一気に敵の首都バグダッドを落としたいと思います。
これが今回行う『三日月作戦』でありますが、問題ないでしょうか。

……大丈夫そうだな。でもって、全員肝に銘じてほしいのだが、この作戦を決行するかどうかは、イラクがこちらの要求を飲まなかった場合に限定する。
回答期間は二か月。イラクがペルシャ湾までの鉄道および道路使用権を提供してくれれば戦争することはない。
そして仮に戦争になっても、イラクでの略奪や無意味な攻撃等は一切禁止する。いいな?

了解です。

イラク戦

大統領。ガージ一世自らの便りが届きました。読み上げさせていただきます。

『――イラク軍が、まだまだ他国の軍質に追いつけていない現状は理解しているつもりだ。だが彼らの、イラクという国に対する忠誠心は人一倍であり、億が一にも、トルコ側に許可なく発砲することなどありはしない。したがって、先の衝突はトルコ側に責任があると考えるのが妥当であり、傷ついたイラク兵士のためにも賠償するべきだという立場に私は立っている。イラク内のインフラを提供するなど、王として言語道断。まずはこの問題に決着をつけて、やり直そうではないか』

…………。胸が締め付けられるな。
だが、後には引き返せないのだ。ヘルニアよ、宣戦布告をイラク側に伝えてくれ。

――承知いたしました。

▽イラク戦の様子。

イラク戦はいたって順調。敵の防衛師団をたやすく突破し、数日中に敵首都を落とせそうです。

何とか、大国が介入してくる前に終わりそうだな。もちろん、戦意のないイラク軍は丁重に保護するのだぞ

~~~~~1週間後~~~~~

ケマル大統領。イラク側から講和をしたいとの便りが届きました。場所はイラク領内のアルハジャラを予定しているそうです。

そうか! では、すぐに私が向かおう。

いや、しかし。大統領自ら行くというのは、あまりにも危険すぎやしませんか?

私はあの時、バグダッドに行けなかった。だからこそ今、誰に何と言われようと行く必要があるのだ。飛行機を用意するんだ。

承知いたしました。海軍の人間ではありますが、お供させていただきます。

戦後

 トルコ・イラク戦争の結果は、イラク王国の消滅という形で終わりを迎えた。この条件はガージ一世が提案したものであり、その条件がイラク人をトルコ人と対等に扱うという条件だった。
 ケマルはこの条件をすぐに受け入れ、イラクの管理をそのままガージ一世に託し、ある程度の自治や軍も認めさせた
 この結果、トルコとイラク国民による不満の大多数は抑えられ、イラク国民やイラクの軍内で反発的な行動を起こしたものは、今のところ確認されていない。

 一方、イラクに協力したドイツ第三帝国とギリシャは、悲惨な目に合う。第三帝国は臨時政府軍に敗れ、多くのナチ関係者は裁判により絞首刑などを言い渡された。しかし一部の関係者はどこか国外へと逃亡し、現在も見つかっていないとのことだ。

 しかしそれ以上に問題だったのがギリシャの方で、貿易封鎖によりギリシャの財政は圧迫。加えて国内情勢はさらに荒れ放題となり、ナチに協力した国として、国際的にも孤立し始める。挙句の果てにはブルガリアがギリシャ領を要求し始めており、『ギリシャは数年すら持たないだろう』というのが国際的な見方となっていた。 

1937年4月1日 国連緊急会議後

味方となっていたイラクやドイツが消滅し、イタリアも孤立を恐れてギリシャと手を切ってしまった。いよいよギリシャ消滅、待ったなしかもしれないな……。

だからイスタンブル国境にギリシャ軍を集結させてトルコに攻めようという魂胆なのか?

なんだ、盗み聞いていたのかケマル。そうとも。この際教えてしまおう。

ギリシャにはもう後がない。だからこそ今、宿敵であるトルコと決着をつけると考えた。

嘘つけ。一種の自爆行為だろ。イタリアに裏切られた今、ぶつけようのない怒りがあるのはわかる。それでも、不安定な国内情勢のギリシャと、イラクに勝って勢い付いたトルコがぶつかれば、どうなるかぐらいお前ならわかるはずだ。

そうでもないさ。少なくとも、防衛に関しては私の方が貴様より上手。ギリシャの土地で戦うとなれば、なおさらだ。
勝てはしなくても負けることはないさ。

国内情勢がボロボロな現状でその判断をくだすのか? 考えなおせ。その手助けができないかと、話を盗み聞いたつもりだ。

……貴様なんかと仲直りできるわけないだろ。私は首相でもあるが、それ以上に男なんだ。トルコの領土を請求し続けて、どの面下げていまさら仲良くできる?

道を誤ったかもしれない私にも、通すべき道理ってものがあるんだ。

無駄死にになるぞ。お前も、ギリシャとその国民も。

(いや、そうでもないさ。私がたった一人だけ認めた男に戦場で打ち取られるなら本望さ。国民とギリシャには迷惑をかけてばかりだが、これは私の。最後の戦いなんだ)

私がトルコに要求するのは、『コンスタンティノープル』の完全返還。信用できる君なら、この要求に応じてくれるだろう。

…………。
私も男だ。その戦、丁重に勝たせてもらうぞ。

そうか。――軍人として、感謝する。

ブルガリア・ギリシャ国境付近 スビレンクラード

ギリシャ攻略戦の準備は順調か?

お、王様……っ。どうしてこのような場所に?

ブルガリア存亡の危機だ。ブルガリア人だけではなく、トルコやギリシャからの難民を救うためにも、このギリシャ戦、何としても勝たなければならない。

もちろんでございます。一兵卒ながら、決死の思いで努力していきます。

それで、作戦計画の方はどうなっているんだ?

はい。上官の話によりますと、トルコと連携してギリシャを倒す手はずになっております。イスタンブールに近いここ、スビレンクラードのブルガリア軍は少なめに配置し、ギリシャのテッサロニキを落とすため、ブルガリア西方に軍を集めているとのことです。

兵卒にも作戦がしっかり伝えられていることに、とても安心した。
トルコは準備を整える70日以内に、ギリシャへの宣戦布告を約束してくれた。この約二か月の間に、どこまでギリシャを開放できるかが勝負どころになる。ブルガリア人の誇りにかけて、この戦争何としても――。

い、一大事です王様! 敵が国境を越えて攻めてきました!

――心配するな。訓練を受けた君たちなら、ギリシャ軍など造作もない。

ギ、ギリシャ軍ではありません! トルコがイスタンブールを越え、ブルガリア領内に侵入してきました! 既に最前線の兵士は戦闘中で、この場所もすぐに危うくなります。一刻も早く逃げてください王様!

なん、だって……。

イスタンブール 対ブルガリア・ギリシャ作戦本部

ケマル大統領。今回の作戦内容の確認のため、もう一度説明をお願いいたします。

もちろん。私の立案だから、何度でも説明させてもらうぞ。

――ギリシャはボロボロとはいえ、メタクサスの防衛力は半端じゃない。彼は、トルコギリシャ国境部の山岳地形を活用し、トルコに対して強固な守りを行ってくるだろう。そこでギリシャ国境部に軍を張り付けているブルガリアに侵攻し、これを撃破。その後ブルガリア領からギリシャに攻め最終目標アテネ陥落を目指していく。

ブルガリアは、『トルコが70日でギリシャに宣戦布告する』という「ある意味本当の約束」を聞いて、ほぼ間違いなくトルコ側の守備を手薄にしているだろう。

すなわちブルガリアとギリシャ、両方の意表を突くのがこの『十字架作戦』の重要な部分になってくるといえる。

ブルガリアはこちらが攻めてくるとは思ってもいないでしょうからね。
しかし、問題なのは……。

ブルガリアに対しては、実質的に奇襲戦争を仕掛けることになりますね。計画上最後通牒と宣戦布告は(一応)行いますが、トルコは外国の非難を浴びて国際的に孤立していくと思われます。

それだけのことをしないと、あの男には勝てないという事だ。彼が死ぬ物狂いで戦ってくるのはもう分かっている。だからこそ、今後のトルコは孤立し『膨張主義』に舵をきっていくのだ。

ブルガリア・ギリシャ戦

ブルガリアは大返しで人員を集めたようですが、防御準備が間に合っておらず前線が崩壊。ブルガリア領内にどんどん進行しています。

ギリシャもブルガリア迂回に対応しきれなかったようで、トルコ軍は敵を分断。ギリシャ軍は崩れ落ちていき、アテネ陥落も時間の問題でしょう。

敵の弱みを突くような作戦だったからな。ある意味勝って当然といえるが、考えていたように問題は戦後の外交だな……。

戦後(まとめ)

 戦後、トルコはブルガリアとギリシャの土地を併合することに決まった。イラクの時と違い、妥協点を見つけずに条約は結ばれたため、トルコに対するブルガリア・ギリシャ国民の反発心は大きかった。言わずもがな、たびたび暴動やストライキなどが繰り返されることとなっていく。
 また、ブルガリアへの奇襲戦争も含め、この一方的な講和内容に世界各国はトルコに非難を浴びせ、予想していたようにトルコは孤立するはずだった……。

▽世界情勢

フランスの左傾化。オーストリアとハンガリーの合併投票の賛成が決まり、中国が一部領土を日本に明け渡した盧溝橋事件。オーストリアハンガリーを警戒して、チェコスロバキアを中心とした小協商が発足と、トルコが戦っている間にあまりにも多くのことが起きすぎているな

それが少なからず、今回のトルコの無茶を軽減してくれているみたいです。しかし一番問題なのが……。

ヨーロッパ最大の列強、イギリスでファシストによる内戦が勃発。おかげで、現在手いっぱいの英仏から非難は受けずに済んだが……この先ヨーロッパは確実に荒れるだろうな

次回:ヨーロッパの火薬庫

 ご一読ありがとうございました。

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