はじめに
※このお話(記事)はフィクションです。HOI4のMODには、このような素晴らしものもあるんだというのを拡散するのを狙いに、作成しております。そして、あらゆる国家・宗教・民族・団体・個人などを貶めたりする意図は一切なく、実在する全ての国家や宗教、団体などとは、一切の関係がありません。
また、ゲーム画面以外で使用している写真は、Wikipediaのパブリックドメインになっている写真。あるいは、商用利用も可能な画像を使わせていただいております
加えて、史実などとは違った表現や無意味な行動をHOI4内でする場合がありますが、そのほとんどは演出によるものです。本日の記事は、そういったロマンも含めて、お楽しみください。
トルコが生んだ一人の天才
1936年1月。エチオピア戦争を始めとした国際緊張の上昇に伴い、トルコでは軍上層部と大統領間で、国防問題についての話し合いが行われようとしていた。
アメリカの海軍技術を学んだヘルニア提督は、海軍の一代表として会議に出席する。
トルコ首都 アンカラ
それでは、トルコの方針を決める話し合いを行いたいと思う。まずは陸軍代表のチャクマク君の話を聞こうか。
イタリアのエチオピア侵攻もそうですが、トルコは膨大な師団を保有するソ連と国境を接しています。またドイツの怪しい軍拡行為が、部下から報告されており、いずれドイツでも大きな動きがあると思われます。陸軍代表としては、戦力の補充が必須であると提案いたします。
うちの陸軍は、機械化を進めているとはいえ、歩兵師団含めて15個しかいないからね。ドイツやイタリア、ソ連と万が一戦う場合に備えて、準備は必要だね。
そうです。そのためにはそもそもの話、武器が足りておりません。なので軍需工場の建設を行い、少しでも早く充足度を上げる必要があるでしょう。
しかしそれ以前の問題として、師団数は15個で足りるんですか? ソ連もそうですが、最近はフランスの共産化運動も激しいと聞いています。もしフランスとソ連が手を組んできたら、とても十五師団じゃ守り切れないでしょうし、黒海と地中海を守り切るほどの海軍だって存在しません。
その通りですね。いずれにせよ、陸海軍両方の強化が必要になってくると思われます。
なるほど理解した。しかしあまりにも大規模な軍拡は、かえって周辺国の反発を招くだろう。とりわけ国境を接する、ギリシャやイラク、ブルガリアなんかには注意しないといけないな。
ギリシャなんかいまだにイスタンブルの請求をしてきますからね。ルーマニアを仲介して、実質的な不可侵条約を結んだのにも関わらず……。
では、首都近辺のインフラ整備を行い、そのあと軍需工場をたてるというのはどうでしょうか。以前からトルコは、劣悪な道路環境が問題となっており、物流に問題がありました。だから建前としては、民間の経済改革として線路や道路を強化し、実際は戦争になったときのための国境部への補給路として使用するのです。
それに加えて、インフラ強化した都市に軍需工場を建てれば、建設速度上昇を狙える。立地的に上陸されても工場を奪われにくいアンカラなら、行けそうだね。
……あとひとつ。もしかしたら、秘密にしていただきたい独り言になるかもしれないんだが、提案してもいいかね?
もちろんです。誰にも秘密は洩らしません。
……私は近々、ローザンヌ条約で非武装が決まっているイスタンブルなどの沿岸地域を解除したいと思っている。そのための話し合いを、少なくとも数か月以内には行いたい。これによる国防基盤の見直しなどは必要だろうか。
海軍としては、黒海と地中海側の海軍を自由に動かせるので、願ったりかなったりですが……。
問題はギリシャですね。いろいろと言われそうですが、何とかギリシャとの調整を行っておきましょう。
すまない。よろしく頼むぞ。
産業基盤改革
予定通り、インフラを設備していこう。これで、トルコの補給状態も改善し、国民の生活改善にもつながるはずだ。
た、大変です! 大統領!
どうした。びっくりするじゃないか……。もしかして、ギリシャとの調整が上手くいかなかったとか?
いえ、それはまだ調整中でありますが、ドイツで内戦が勃発したようなのです!
……はい?
ドイツ内戦
この状況をどう見る、チャクマク元帥
ひひひ、ひとまず我がトルコは、中立の立場を取り、様子を見るべきでしょう……。英仏を始め、この内戦に介入する勢力はいないようですから、無駄に騒がない方が無難です。
一番騒いでいた君に言われたくないが、まぁその通りだな。ここは中立を……。
朗報です大統領!
……あのね。私だって50過ぎで、若くないんだから、あんまり大きな声を出さないでくれ。心臓に悪い。
も、申し訳ありません。ローザンヌ条約の一部改正が実現し、自由にイスタンブルに軍が移動、駐屯できるようになりました。
イスタンブルの非武装化解除
えっ? でもよくギリシャが飲みましたね。
いえ、話し合いを行ったのはイギリスとソ連に加え、ドイツ臨時軍政府の四か国だけですよ。
あ。ふ~ん(察し)。それじゃあ、国境を接する国は関係なく、解除されたわけだ。
大統領。ギリシャから抗議の電話が鳴りやみません。
まぁまぁ。解除されたなら、ギリシャから嫌われるくらいどうという事ではない。それより、イギリスとソ連はわかるとして、ドイツ、しかも臨時軍政府と話し合いを行ったという事は、おそらくあちらからこの問題に介入してきたのだろ? 違うかヘルニア。
はい、その通りです。しかしなぜあちらから、この問題に介入してきたのでしょう。
そんなの簡単だ。内戦で忙しい中、本来ならトルコなんぞにかまっている暇はない。しかしイギリスとソ連とともに、トルコの要求を通せば、新生ドイツとしての正当性を高めることができる。もしかしたら、英ソあたりに武器の調達を裏で頼んでたりするかもしれないぞ。
なるほど。流石ですね大統領。
第一次五か年計画
NFは産業ルートを進めていくぞ。このNFだけで、民需工場を10個も増やしてくれる。
いったい何をしたらそんなことができるんですかね。
まぁ、今までは国民精神で輸出が全ストップしていたからな。それを開放することでトルコの輸出による収益が増えて、市場の活性化につながったんじゃないか。知らんけど。
またまた。大統領が貿易法や経済法を改正したおかげで、外国とのやり取りが活発になり、それが軍事技術の研究力増加にまでつながっているんじゃないですか。より国力を付けるために、努力されているんですね。
……そういうことにしておこう。ただ前に話し合った通り、軍拡が必須だからな。そのためにはやはり、軍を支える資金源を作る産業基盤が必要だったんだ。
ハンガリーはオーストリアハンガリーの復興へ。
ドイツだけではなく、ハンガリーでも動きがありました。どうやら、オーストリア=ハンガリーの復興を目指している動きがあるようです。
これではまるで、昔に戻っているようではないか。間違ってもうちは、オスマン帝国にはもどらないからな。
そんなことしたら、いよいよ連合との対立は避けられませんからね。中央同盟国、復活必須になります。
ひとまず、ドイツ内戦に、オーストリアハンガリー復興の可能性と、世界情勢が複雑すぎる。
ここは部分動員に経済法を変更し、万全の備えを……。
マジでやばい!
本当にやばいです大統領!
おい三度目だぞ。流石にそのパターンは飽きたぞチャクマク君
いやいや、本当に大変なんです! イラク国境のトルコ軍が、相手側の発砲にあい小規模な戦闘に。原因を調べたらイラク側兵士の単独によるいたずらだそうで。今は止まっていますが、イラクは賠償を請求しています。
何だと!? そんな理不尽なことがあってたまるか!
今すぐにでもイラクの代表と話をしに行く。調整を大至急進めてくれ。
(僕の仕事じゃない気もするが)分かりました。イラクの代表にかけてみます。
アテネ会議
話し合いをしたいとはいったが、なんでアテネなんだ?
私はバグダッドに向かい、この問題にサシで直接決着をつけるつもりだったのだが。
まぁまぁ。イラク代表が中立の立場での仲介人がいた方がいいというんだから、いいじゃないか。
で、肝心のイラク代表が見えないのですが、どこにおられるので?
……お待たせしてすまない。ある方をご招待するのに戸惑った。
これは、イラクの王様自らアテネに来られるとは。すごい会議になりそうですね。
で、ある方とはいったい誰のことで?
お待たせした。ドイツ第三帝国外務大臣、リッベントロップだ。
なっ! なんで、ドイツがこの問題に介入してくるんだぁ!?
本来なら、イギリスやフランスが世界の平和を守る立場なのだろうが、フランスは共産化運動の抑制で忙しく、イギリスは中立の立場で何もしようとしない。ドイツだって内戦で忙しくはあるが、中東の平和維持のため、行ってこいとの総統の命令だ。
(第三帝国側は負けつつあると聞くのに、ご苦労なことだ)
……まぁ、来てしまったのならいいだろう。イラクの賠償問題について話し合おうじゃないか。
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――したがってトルコ側は、イラクにこの程度の賠償金を支払うべきだと主張します。
ふ、ふざけるなリッベンドロップ。ベルサイユ条約ほどではないにしろ、この額はうちの国家予算の3倍に匹敵するぞ。加えてトルコの資源を、イラクに納入しろだと? 馬鹿馬鹿しいにもほどがある!
払えないのであれば、それ相応の措置をドイツは取らなければなりませんね。トルコへの経済封鎖を、ギリシャやイラク、イタリアなどとも連携して行っていくつもりです。
最近立ち直ったばかりの貿易を潰そうというのかね。
トルコの輸出ルートは、地中海の海上ルートか我がギリシャを通っていくものがほとんど。ここはトルコが折れてくれた方が、平和のためにもなりますよ。
…………。10分でいい。少し考える時間をくれ。よろしいかガージ一世。
もちろんですよ。
~~~~別室~~~~
ご苦労様です大統領。どうやらドイツは、あちら側の人間みたいですね。
始まる前から感じていたが、ギリシャもドイツも、イラク側の人間だろう。
おそらくギリシャは、うちの五か年計画成功による輸出増加による反動。すなわちギリシャの輸出が下がってしまったことによる不況を立て直すために、イラクと結託してお金が欲しいのだと思う。……部下からの報告だが、ギリシャの失業者問題は相当深刻なようで、クーデターの可能性もあるらしい。メタクサスが焦るのもわかる。
では、ドイツはどのような理由であちら側に?
内戦不利による物資の枯渇。多分だが、ドイツが要求する半分以上の資金は、ドイツに流れる手はずなんじゃないかと思う。現在のギリシャ不況は、うちの国家予算の半分もあればメタクサスの腕なら十分立て直せるだろうし、今回の大本であるイラクの損害など、さらに被害額が小さい。と考えると、本当にお金を欲しがっているのはドイツで、その理由は内戦によるものだと予想はできる。
それなら、ドイツが首を突っ込んでくるのもわかります。それだけ彼らの負けが迫っているという事なんでしょうね。
聞くまでもないと思うのですが、彼らの要求をどうなさいますか?
もちろん蹴る。適当な理由を言って本日はお開きにする。仮にどこかから、最後通牒を突き付けられたとしても、ドイツとは国境を接していないし、イラクとギリシャが同時に攻めてきても防衛ぐらいならできるだろう。あとは、英ソを始めとした大国に、支援がもらえるよう整えておくだけだ。
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結局、アテネ会談では何も決まらず、倍賞問題は延期されることになった。
その結果、ギリシャを中心にドイツ、イタリアの海軍がトルコの地中海ルートを遮断。イラクの工作により、イラン経由で貿易をすることもふさがれ、中東問題に巻き込まれたくない英仏ソは、どちらに対しても非協力的だった。
唯一生きたルートは、ブルガリアなど黒海側のルートだったが、輸出量が激減したことは変わらず、伸び続けていた経済が少しずつ降下しつつあった。
むろん、ブルガリアも全面的に協力してくれるわけではなく、トルコはほぼ単独でこの問題を解決しなければいけなくなった。
ヘルニア。私は今のままトルコが衰退していくのを、国民の生活がこれ以上細くなっていくのを見たくない。
だから、決めたぞ。
決めたって。まさか要求を飲むということですか?
いや違う。まずはインドを中心とした東アジアの貿易を取り戻すため、……トルコはイラクに、宣戦布告する。
ご一読ありがとうございました。